それでも日本人は「戦争」を選んだ 加藤陽子
戦争なんかしなきゃよかった、しないほうがいいなんてこと、誰だってわかってる。
それでも、戦争は起こったし、今もどこかで続いている。
それはなぜか。
この本は、高校生への講義を書籍化したものであり、
丁寧に語りかける形で、我が国が戦争に至った道のりを、
時に内側から、時に外側から、じっくりと見つめながら、
著者は、高校生、そして読者を伴いながら、
一歩一歩、戦争へと続く道を進んでいくものである。
そうして、この本が綴る戦争への道のりは、
知れば知るほど虚しく、細い一本道だ。
ところで、
人は過去の歴史を学ぶことで、人はそれを生かすができるというが、本当だろうか。
いくら学んだところで、人が常に最良の判断をすることができないことは、
この本が語ることではないだろうか。
また、武力の行使だけが戦争ではないと思う。
私たちの未来。細い細い一本道の先に何が待っているのかわからないけど、
そには、形を変えた戦争が私たちを待っているような気がする。
そしてそれを受け入れるしかないのではないかと、私は思う。
よかれよかれと思って進んでいても、結果として、
それでも人間は戦争を選ぶのだ。
それが人間なんだと思うから。