『風立ちぬ』堀辰雄
- 作者: 堀辰雄
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2009/06/05
- メディア: 文庫
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主人公と節子は高原のサナトリウムで、死の影におびえながら、静かに静かに幸福を求める。。
この本を読んで、大切な人を失うのは、こんなにも静かなのかなと思った。
音も、色も何もかも連れて、大切な人は、消えてしまうのかな。
ちょうど冬に、冬の中の二人を読み、なお一層寒く、せつなく、身にしみる静けさを感じた。
思うに、人の命は、みな有限で、だから、病気などで余命を宣告された人も、それは、死の理由とだいたいの死の時を知らされただけで、どのようにして死ぬか、いつ死ぬか分からない私と、結局のところ、死は避けられず、常に死に向き合わねばならない点で、なにもかわらないと思う。
ただ、病魔に侵され、少しずつ命が失われていく感覚を受け止め続ける点で、命が無限であるかのように、毎日を過ごす私よりずっと、
死への覚悟が求められるのだろう。
私がどんなふうに死ぬのかわからないけど、できれば、その前に皆にお別れが言えるような、ちゃんと皆に感謝を伝えられるような、そんな去り方ができればいいな、と思う。
でもたぶん、あまのじゃくな私なので、誰にも知られないように、そっと消えてしまうんじゃないかと思う。
しずかなしずかな愛ある本をどうぞ。
この本と共に、もうこの曲しかないでしょう