目の見えない人は世界をどう見ているのか 伊藤亜紗(光文社新書)
この本書いたのどんな人
この本を書いたのは、東京工業大学リベラルアーツ教育院の准教授をされています。
リベラルアーツ・センター時の著者のページ↓
リベラルアーツってなんだ?って調べてみたら
伝統的な科目群の位置づけや内容に現代的な学問の成果を加え、やはり大学で誰もが身に付けるべき基礎教養的科目だと見なした一定の科目群に与えられた名称で、より具体的には学士課程における基礎分野 (disciplines) のことを意味する。この現代的な分類では、人文科学、自然科学、社会科学、及びそれぞれの一部とみなされる内容が包括されることになる。
わかったようでわからぬ説明ですが、そんな中で、著者は美学、現代アートを専門としておられます。
内容
本書はいわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようとするものです。
この本では、空間認知、手や耳の感覚、見えない世界での体の使い方、言葉など、見えない人たちとの対話を通して、見えない人が見ている世界を丁寧に解説していきます。
とはいえ、著者曰く
見えないことと目をつぶることは全く違う
とのこと。
この本を読むことで、目が見える人が目をつぶるだけでは想像できない、目に頼らない世界を、頭の中で作り上げることができると思います。
私の感想
この本を手に取った私には、目が見えない人の世界を理解しようという、上から目線のおごりがあった。
興味本位な態度だった。
見えない人は、見えないと思っている人がほとんどだろうし、私もそうだった。
しかしそうではない。
見ることが、目の前に何があるか、それがどんな形で、何色なのかを知る、ということだと考えれば、目で見ることが、見るということの全てではないことがわかる。
見える人は、見えるがゆえに、物の裏側、自分の後方など死角が生じる。
しかし、見えない人は、
視野を持たないゆえに視野が狭くならない。とんちみたいですが、私たちの先入観を裏切る面白い経験です。
この本を読んで、私自身、様々な行為で、見ていることがわかった。
例えば、本を読んで物語の情景を思い浮かべることも、見ることに等しいように思う。
見える人が上から目線でいる以上、体感できない世界を、この本では気づかせてくれた。
週末には、美術館に行ってみようと思う。
見えない人と歩くならと想像しながら、鑑賞して見たいと思った。
目の見えない人は世界をどう見ているのか 伊藤亜紗(光文社新書)
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