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『かわいい女・犬を連れた奥さん』チェーホフ

かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

この本は、チェーホフが晩年に書いた短編集であり、ロシア社会が舞台となっている。

この世の中には、人間は大きな意味で男と女しかいないわけで、

社会を描くと、必然的に男と女を描くことになる。

タイトルと装丁から想像するほど、その内容はかわいいものではなく、

著者の切りだす一場面は、なんとも辛辣なのである。


恋愛ともつかない男女の人間関係は、

どの時代もどの国でも、たいして変わるところはないようで、

かわいい女など、

男にとってかわいい女は、得てして、女から見てかわいそうな女だったりして、

そういう感覚は世界共通なんだなと妙に納得したりする。



ともかく何気ない一言、一場面を切り取る

チェーホフの作家としての鋭い力を感じた。

あのとき結婚しなくてよかった。

この一言には参った。