残るは食欲 阿川佐和子(新潮文庫)
この本書いたのどんな人
この本の著者、阿川佐和子さんは、私からすると謎の人です。
気がついたら、よくテレビで見かけるようになっていた、アナウンサーでもなさそうだし、誰だろこの人?という感じ。
調べてみたところ著者は、作家阿川弘之の長女で、報道番組のアシスタントやキャスターを務め、硬派な報道番組に出演し続けていたが、討論型バラエティー番組『ビートたけしのTVタックル』で進行役に就任以降バラエティタレントとしての才能も引き出されるようになり、以降、バラエティ番組に出演する機会が増えていったんだそうです。
エッセイ『聞く力』など、エッセイストとしても活躍されています。
なるほど。
私にとっては、これといって特徴のない感じのする方ですが、じゃあ、代わりになるような人がいるのか、というとそうでもない、不思議な魅力の方、それが阿川佐和子さんだと思います。
内容
この本は、雑誌「クロワッサン」に掲載されている食べ物に関する連載読み物をまとめたエッセイ集です。
どれもこれもおいしいものを、食べたり、作ったり、ふるまったり、戴いたり、思い出したりするお話ばかりです。
さすが作家のお嬢さま、出てくる食べ物は、どれもおしゃれ感が漂いまくっている。品があるというか。
それは単なる田舎者の引け目のせいかもしれないが、どのページも素敵なものたちでも埋め尽くされています。
私の感想
人間の欲求には、いろいろあるけれど、「残るは食欲」なのだろう。
こう読むと、なかなか深いものを込められたタイトルというか、自虐的というか、面白うタイトルだな、と思う。
この本、新潮文庫の100冊のヤバイ本から選んだ一冊なのですが、食欲だけが残った女の本と思うと、かなりヤバイ本なのかもしれない。
とはいえ、内容的にはそんなにヤバくもなく、同世代の独身女子なら楽しく読めるのではないかな、と思う。
そして、この本の魅力は、本のタイトルだけではなく、それぞれの文章のタイトルにあると私は思う。
未練ケーキ
ギュイーン料理
叱られバター
カチンカチンパン
かしわいずこ
カヌレ君の功名
なんとも楽しい。
なるほど、残るは食欲なりか。
美味しいものを美味しく食べることができて、それ以上、何を望もうか。
残るは食欲 阿川佐和子(新潮文庫)
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