あなたの中の異常心理 岡田尊司(幻冬舎新書)
この本書いたのどんな人
この本を書いたのは、大阪の心療内科、精神科、思春期・児童精神科のクリニックの院長さんです。
クリニックのHPはこちらから↓
HPの著者のプロフィールには、
1960年、香川県に生まれる。東京大学文学部哲学科に学ぶも、象牙の塔にこもることに疑問を抱き、医学を志す。ひきこもった時期や多くの迷いを経験する。
京都大学医学部で学んだ後、京都大学医学部大学院精神医学教室などで研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などに勤務。山形大学客員教授として、研究者の社会的スキルの改善やメンタルヘルスの問題にも取り組む。
著作家や作家・小笠原慧としても活動している。
とありました。
著者のクリニックに行けば、著者に診察してもらえるのか。
用事もないのに行っちゃダメかな。
内容
「あなたの中の」とタイトルにあるように、私たちの誰もが持つ感情に異常行動の種があります。
著者も、
異常心理の興味深い点は、 正常の人にも見られるようなものが、極めて異常な状態にそのまま連続しているということである。正常と異常の区別に意味があるのではなくて、むしろ両者の連続性に意味がある
と述べています。
この本では、
異常心理を知ることは、単に異常心理を理解し、その対処を知るということにとどまらず、むしろ正常心理が、限界を超えて異常な領域に踏み入らないためには、何が大切かを学ぶことにもつながっていく。異常心理から、自分を見失うことなく本当の意味で幸福に生きていくためには、何が必要なのかということについても考えていきたい。
として、たくさんの事例を挙げて、丁寧に解説しています。
私の感想
今の世の中、何が正常なのか、異常なのかの見分けがつきにくくなっているように思います。
それは、正常の中に異常が入り込んでいるというか、異常が正常に取って代わっているということなのかもしれません。
そして、異常心理が原因となっている事件も多く発生しています。
この本を読んで、異常心理が原因となっている事件に対しては、社会の一員として、できる限り多くの正確な情報を持って、客観的に見つめたいなあと思います。
また、この本を読むと、異常心理は特別なことではなく、私たちの日常の延長の中にあるということがよくわかりました。
ところどころ自分自身の異常性と重ね合わせてしまうところもあって、私の正常の限界は、どこにあるのかなんて、考えてみたりして。
とはいえ、 お医者さんが書かれていることだけあって、不安を煽るようなところはありません。
現代社会の歪みから生まれた異常性を理解するには、おすすめの本だと思いました。
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