人間はどこまで耐えられるのか フランセス アッシュクロフト(河出文庫)
内容
この本は、
極限の環境における人間の生理学的な反応を説明しながら、人間が生き延びる限界を探る。
ものであり、章は6つ。
どのくらい高く登れるのか
どのくらい深く登れるのか
どのくらいの暑さに耐えられるのか
どのくらいの寒さに耐えられるのか
どのくらい早く走れるのか
宇宙では生きていけるのか
この本は、それぞれその限界に挑んだ人々の功績とともに、それぞれの環境が人間に与える影響を解説し、人間の限界はどこなのかを示していく「生理学」を基本とする本だ。
著者曰く
本書を読めばわかるように、生理学は研究室の中だけでなく、日常生活に当てはまる科学でもある。極限状態と戦って生きのびるためには、「命の理論」である生理学の知識が欠かせないのだ。
とのこと。
「生理学」を通して、人間という動物の姿を、この本は見せてくれる。
私の感想
この本は、タイトルもさることながら、圧倒的な表紙のインパクトに引き寄せられるようにして購入した本だ。
表紙には、氷に包まれ、炎にも耐え、山の頂を目指す?過酷な姿が描かれているが、なんだかどこか滑稽でもある。
地球上で一番高いところを目指す冒険家たちの体に起こる変化とは。
海の奥深い底の底を見たいという科学者たちの挑戦。
地球上の驚くべき環境下に暮らす人々の生活。寒さ、暑さへの対処。
人が早く走るためには、一体何が必要なのか。
地球を飛び出して、安全な方法で宇宙へ行って、帰ってくるための科学技術。
この本は、極限状態の人間の姿には、どうしてそんなところに?という疑問や、どうしてそこまでする?という好疑問や好奇心を、確実に満たしてくれる。
それにしても、この本で、これらの人間の限界に挑むのは、探究心溢れる科学者、危険を厭わない冒険家、戦争下において極限状態に置かれた人々がほとんどだ。
人間というのは、極限状態という生死の境目にまで挑戦しなかればいられない動物なんだなぁと、つくづく感心するやら、呆れるやら。
人間の好奇心に限界などないことからすれば、この先、科学技術が進んで、ますます人間の限界は広がるだろう。
いつか続編が出版されるのを楽しみにしたい。
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