執事だけが知っている世界の大富豪53のお金の哲学 新井直之
この本は、世界の大富豪を顧客として執事を務める著者によって書かれています。
私のような底辺の人間には、大富豪はもちろん、執事様とてお会いする機会などないお方です。
もっとも、執事という職業の存在は、ドラマなどにより知ってはおりました。
こちらのドラマもその一つでございます。
この「謎解きはディナーのあとで」は、お嬢様と執事が事件を解決するというものですが、映画化された際、執事のエキスパートとして、著者が執事の所作などをアドバイスされたそうでございます。
さて、この本、全編において執事調で書かれております。
大富豪の方々は、お金そのものよりも”運の掴み方”に関心を持たれているのではないかと感じます。実際、大富豪の方々はどなたもご自分の運試しは大変お好きなのです。
ですので、この本を読んでいると、
「お嬢様、そうではございません。」「こちらによるべきでございます。」
などと、私のそばに執事が付いてくれて、導かれているかのようです。
各章のタイトルはこんな感じ
火をつけて燃えるものには投資されません
松竹梅で迷われたら、梅を買われます
一杯100万円のワインを飲んで50億円稼がれます。
お坊さんのお話が、なんだかありがたく聞こえるように、著者の語る執事調の言葉の一つ一つにには静かなる説得が感じられるから不思議です。
この本を読むと何事も、丁寧に語るということが、とても大切であるということがよくわかります。
またこの本は、執事という大富豪を側で支える職業を存分に利用しています。
執事である著者だからこそ気づく、おそらく大富豪ご本人からすると、日常的な出来事で、見逃しがちな哲学をこの本では丁寧に解説されています。
また、大富豪本人が語れば、ただの自慢話になりそうなエピソードも、客観的な解釈とともに語られていますので、聞く方も自然に聞くことができます。
執事調がはまりました。
とはいえ、内容はいたって真面目。
大富豪の目に、頭になって、なんのためにお金を使い、なんのためにお金を得るのかを考えさせられる本です。