- 作者: 小坂井敏晶
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/02/19
- メディア: 新書
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私はこれまで、
人が人を裁くということは、どういうことなのかということを、
ちゃんと考えたことがなかった。
ところが、そんな、何の気なしにこの本を手に取った私に、
とんでもない答えを与えることになる。
いや、答えではない、更なる問いという方が正しいだろう。
この本では、まずはじめに、
裁判員制度をめぐる問題から裁判という制度そのものを、
世界の制度と比較しつつ解説する。
そして、人が人を裁くことにより生ずる冤罪についても、
丁寧に検討していく。
この辺りまでは、まあよい。
最後に、「原罪としての裁き」として、
そもそも私たちが罪と呼んでいるものは何なのか、
私たちが、裁いていると思っているものは何なのか、
を深く深く考えていく。
それはもうあまりに深すぎて、もうほとんど禅問答のようなところまで到達してしまう。
私は、この本を読んで、
私たちが「罪人を裁く」と考えていることは、
社会の軋轢が噴出した、犯罪の行為者を見せしめにするということなんだと、
少なくとも、そういう一面があるということを私は知った。
この本が問いかけることは、ほんとのところどうなのかよくわからないが、
この本は、裁判について、私に新たな視点を与えてくれたことは確かだ。
いや、裁判だけじゃなく、
犯罪はなくならず、そして、それを裁き続ける人間についても、
新たな視点を与えてくれた。
↓同じく裁判について新たな視点を与えてくれた本↓