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人間、失格  あなたはどう読む?

人間失格 太宰治(新潮文庫)

人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5))

人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5))



とにもかくにも、朝起きるのがつらい。

ともすれば、それは、生きるのが辛いといった、一大事に感じてしまったりする。

生きることに大げさで、小さなことにもいちいち悲嘆する私は、さらなる哀しみや苦しみを得ようと「人間失格」を読んだ。


そして、本の世界にどんどん引き込まれて、読み終えた今、私は未だ太宰治の世界から、なかなか這い出ることが出来ずにいる。


この本は、或る男が、人の顔色ばかりを伺いつつ、世間や自分を偽りつつ生き、
やがて生きてゆく道を見失い、酒、女、薬におぼれ、堕落し、ついには、自らを「失格」との判定を下す、簡単にいうとそういう話だ。



この男は、他人から見たらなんでもないような他愛もない事を気にして、いつまでも自分は駄目だ駄目だといい、周りに自分のいいたいこともいえない。



この男、確かに失格といえば、失格なんだろうけれども、こういう男は、まあ男に限らず女でも腐るほどいて、よくある話、と言えばよくある話なのかなと思う。


そうはいっても、自分で自分を「人間、失格」と判定する人は少ない。


自分が自分をあきらめ、自分を降りる。

そういう死もあるのかなと、ふと思った。



この本から抜け出すには、人間には、失格も合格もないということに、自分自身が納得することに尽きるのだろう。


困ったことに、そんなキレイな答えには、すっと手を伸ばせないのが、私なのである。

人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5))

人間失格【新潮文庫】 (新潮文庫 (た-2-5))


*「人間失格」は「新潮文庫の100冊」に選ばれています

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