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戦争の本 イカで哲学はいかがとか、そんな本じゃないんですよ

日本の大転換 (集英社新書)

日本の大転換 (集英社新書)

『イカの哲学』は、世界平和を説く本だ。

今の日本では、

世界のあちらこちらで起こる紛争も、遠く離れたテレビの向こうの出来事で、

なんだかんだあっても平和なんじゃないの?

とまあ、本当に能天気な平和ボケぶりだ。私もその筆頭。


しかし、この著者らは、

現代の私たちが思う、ふわふわとやわらかな生暖かい平和ではなく、

戦争の中から見る平和というか、もっと、凄まじい開放感と安堵が込められた平和を求めている気がする。

この本は、戦争を経験しているからこその平和への強い渇望が伝わってくる本だ。

「そうだよ!大切なことは実存を知り、且つ、感じるということだ。たとえ、それが一疋のイカの如くつまらぬ存在であろうとも、その小さな生あるものの実存を感知するということが大事なことなのだ。このことを発展させると、遠い距離にある異国に住む人の実存を知覚するという道に達するに相違ないのだ。」

私が、この本で一番感銘した部分だ。

ココだけ読んでも、よくわからないと思うけど、

是非、この本を少しずつ読みすすんで、この文章に辿りついてもらいたいと思う。


『イカの哲学』は、戦争を外から批判し、否定しようとする思想を語らない。その思想は、戦争を生み出すメカニズムのまっただ中に立って、それを否定し、乗り越えていく原理を探ろうとしている。戦争を生み出すのは人類の心の構造なのであるから、自分だけはまるでそれとは無関係でいられるような顔をして、外から戦争を批判するやり方は、少しも現実的ではない。現実性をもった唯一可能な方法は、戦争を生む当の人類の心の中に踏み込んでそこで戦争を乗り越える原理を見出そうとすることだ。『イカの哲学』の著者が採ったのは、まさにそのやり方だった。


重たい内容の本だが、若い方でも読みやすい本だと思う。

いろんな国の人が読んでくれたらいいなと思う。。