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犯人たちよ、福家警部補に隙を与えてはいけない

福家警部補の再訪 大倉崇裕(創元推理文庫) 

 

 

この本書いたのどんな人

 この本を書いた人は、

会社勤務を経て1997年、「三人目の幽霊」で第4回創元推理短編賞佳作を受賞。1998年「ツール&ストール」で小説推理新人賞を受賞(応募時の筆名は円谷夏樹)。

2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。 特撮、フィギュアなどにも造詣が深く、これらを題材にした作品も発表している。また、『ウルトラマンマックス』の第7話の脚本や、『刑事コロンボ殺しの序曲』『刑事コロンボ 死の引受人』などの翻訳(ノベライズ)も手掛けている。

 (https://ja.wikipedia.org/wiki/大倉崇裕 より)

 

このほか、名探偵コナンの脚本を手掛けておられます。

子供から大人までが、トリックを理解し、楽しむことのできる作品を書かれる方なのかなと思います。

 

内容

主人公は、捜査一課の警部補、警察官です。それも、女性で、やや間抜けな感じの、おっとり系キャラクターです。

主人公の彼女には、拳銃はおろか、殴り合いとか、取っ組み合いもありません。非暴力です。

 彼女にあるのは、事実の積み重ねと小さなひらめきです。

 私は、この本を読んで刑事コロンボや古畑任三郎を思い起こしました。

主人公のユーモラスな姿と、犯人を追い詰めていくしつこさが共通していると思います。

 

この本では、ストーリーは、まず犯人が罪を犯すところから始まります。読み手は、犯人がわかった上で、福家警部補がジリジリと犯人に迫っていくところを楽しむ趣向です。

 

私の感想

テレビでたまたま、スポーツ番組も見かけることがあると、私は、不思議と負けている方を応援したくなる。

 

そのせいか、私は、犯人が先にわかってしまうと、不思議と犯人側の立場に立って、物語を読んでしまう。

罪を償うべき犯人を応援するわけではないけれど、犯人の重くのしかかる罪悪感や後悔の念に押しつぶされそうになる姿に、自分自身を重ねてしまい、私は犯人とともに、福家警部補の執拗な操作に耐え、今バレるか、いつバレるのかと、息の詰まる思いを味わうのだ。

彼女の姿には、腹の底から苛立ちすら覚える。

 

そうして最後には、福家警部補に最後の一手を突きつけられて、犯人は観念する。

私も、やっとホッとして本を閉じる。

 

 

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