とにかくうちに帰ります (津村記久子)
この本書いたのどんな人
日本の小説家で、大阪府大阪市出身。
2000年、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10ヶ月で退社。その後、職業訓練校などを経て2001年に転職されたんだそうな。
2009年には、「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞を受賞されています。
芥川賞作家さんだったんですね。
内容
この本には、3つの物語が綴られています。
舞台は、なんとなくのどかな職場です。
今流行りのブラック企業ではないようですし、出世レースの激しい大企業というわけでもない、そんなに小さくはないけれど大きくもない、まあ、会社の人、全員の顔くらいはわかるかなぁという感じの会社です。
登場人物も、どの人もありふれた働く人で、際立った個性の人もいません。世の中、そうそう際立った人などいないものです。
加えて、綴られた物語もありふれた日常で、ハラハラもドキドキもドロドロもありません。
しかし、この本には、著者自身の会社員経験が存分に生かされているのでしょう。
3つの物語のどれにも、会話の中に、仕草の中に、心の動きのそこここに、職場に潜む小さな毒や幸せの種がちらりちらりと、見え隠れしています。
私の感想
タイトルに惹かれて。新潮文庫の100冊の中から心をシビレさせる一冊と期待して、この本を選びました。
生きているといろんなことあるもので、私のような凡人のありきたりな毎日でも、 心の上げ下げや、伸び縮みはあるものです。
この本を読んでいると、小さな毒や幸せの種が、プチプチと弾けて、私の心をくすぐります。
また、登場人物の会話には、なんとも心地よい間があって、そのリズムが心地よくて、会話の中にいるだけで、心のコリがほぐれていくようでした。
とにかくうちに帰ります
大雨の中、最後のバスに乗り遅れて、遠い駅までまわり道。
うちに帰る。
ただそれだけの幸せがそこに待っている。
* おすすめの本リストあります