死神の精度 伊坂幸太郎(文春文庫)
死神の精度 (文春文庫) 伊坂 幸太郎 文藝春秋 2008-02-08 売り上げランキング : 4633
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この本の主人公は死神です。
死神は対象者の前に現れ、一週間の調査を行い、結果を報告します。
物語は6編あり、運のない地味な女、見捨てられた暴力団幹部、洋館での連続殺人、メガネでダサく見せてる男、人殺しの若者、美容室の老婆が対象者です。
対象者は、死神が「可」と報告すれば八日目に死に、「見送り」と報告すれば死が先送りとなります。
とはいえ、調査と言っても特段何かするわけでもなく、だいたいが「可」と報告されるのが常々です。
おいおいネタバレかよ、「可」か「見送り」かの結果言ったらダメやん!
と思われるかもしれませんが、この本では、死神が調査の結果、「可」とするか「見送り」とするかは、あまり重要なことではないのです。
死は誰にでも等しく訪れます。
死神が「見送り」としてところで、ただ死が先送りになるだけで、いつかは「可」とする日がくるからです。
「可」か「見送り」かはどうでもよくて、このお話の中でも単なる通過点のような存在なのです。
多くの人は、いずれ来る死をいちいち意識してはいません。忘れているかのようです。
登場人物たちも、八日後に自分が死ぬということを知りません。死神もそのことは告げません。
ただ死神の存在だけが、読み手の私たちに、死の存在を常に感じさせるのです。
人が生きているうちの大半は、人生じゃなくて、ただの時間、だ」
この本は、たぶん、人生観とか、死生観とかそういうのを重々しく語る本じゃなくて、そんなに真面目に読んじゃだめなんだと思う。
私みたいな根が暗い人は読むと、「死」とは?って暗くなっちゃうけど、本の中から、超ドライな死神が「それがどうした?」とこちらを見ている気がします。
案外、読後感がさらりとしていて、いい本読んだなぁという感じ。
私もさらりと明日に向かおうと思います。
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