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山本周五郎のことば ことばに触れて人を思う

『山本周五郎のことば』清原康正

山本周五郎のことば(新潮新書)

山本周五郎のことば(新潮新書)

私はその昔、絵を習っていた。

教室に行くと、たいてい何かしらの静物が置かれていて、
それをただ描く。
私は、いつも水浸しの水彩画を描いていた。


ある時、私は風景画に挑戦することにした。
お気に入りの川のある風景。

そこはいつも、週末ともなると、バーベキューをする人でにぎわっていて、
たいてい車で出かけて、誰かと行ってわいわいする場所だ。

私は、そこに行って写真を撮り、軽くスケッチをして、あとは教室でもくもくと描いた。


「人を描いたら?」


先生に言われたけど、どうしても風景画の中に人間を描き込めなかった。
私の世界には誰も住んでいないのかな。。そんな気すらした。

この本は、山本周五郎のことばを集めた本であるが、
この本を読めば、言葉することなく、人間というものはこういうものか、
と思える、さまざまな登場人物に会える。


ああ、どうすればこんなにふうに生き生きと人間が描けるのだろう。


あなたは、この本を読んで、気に入った言葉を書き留めてもいいし、
気に入った登場人物をたどって、次の本を手に取るのも、また素敵だ。


私は、こうして出会いを求めているのかな。。


ちなみに、その風景画長らく額に入れてほおっておいてたのだが、
数年前、母によって発掘され、今や我が実家の玄関に飾られている。

母が好きなのだそうだ、その絵を。