宇和島の鯛めしは生卵入りだった ニッポンぶらり旅 太田和彦(集英社文庫)
この本書いたのどんな人
大高和彦さんって、99年から続く「日本百名居酒屋」の旅チャンネルのシリーズの主なんだそうです。
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そして、Wikipediaによりますと、
日本のグラフィックデザイナー、居酒屋探訪家である。
著者って、グラフィックデザイナーさんだったんですね。
それに、居酒屋研究家でもなく、居酒屋評論家でもなく、未開の居酒屋を訪ねて歩く探訪家なんですね。
内容
この本は、表紙だけ見ると旅の本のようですが、単なる旅の本ではありません。
居酒屋探訪家である著者は、宇和島、大分、会津、高知、金沢、尾道、高松と、合わせて13箇所を旅しておられるのだが、どこへ行っても、地元のうまいものを求めて、居酒屋へと向かうのです。
そして、著者は、居酒屋だけではなく、その土地土地の美味しいものを味わい尽くします。
著者の文章には、美味しいものを大げさに飾り立てる表現はなく、素材と食感、食べた時の著者の一言が端的に描かれているにもかかわらず、美味しさの元となる旨味までもが伝わってくるようです。
また、訪れている土地も素敵です。渋いというのかな。
私の感想
旅というと、日常を忘れて、日頃の疲れを癒したり、リフレッシュするための非日常を過ごすという人が多いのかな、と思います。
しかし、この本の中の著者は、旅先の非日常を楽しむ感はなく、いつもの調子で、いつものように飲んで食べているのです。
いつからか旅に出ると朝のコーヒーが楽しみになった。知らない町の1日の始まる様子を清々しい気持ちで見るのが好きだ。朝早いコーヒー店を見つけるのも楽しい。
私は深呼吸をした。こういう時にほんとうに旅に来た実感がわく。
わしわしわし。ボリュームたっぷりに満足、昼下がりのスタンド扇風機の風が心地よい旅の午後の鰻屋でした。
この本を読んで、日常の中に旅があって、力みなく自然体の旅って、温かくていいなぁと思いました。
私の方では、まだまだ旅をしてやる的な、楽しませてくれるんでしょうね的な、上から目線の旅をしている気がします。
この本は、私もこういう旅がしたいと思った本でした。
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