- 作者: 沼田まほかる
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/01/29
- メディア: 文庫
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読み終えてしばらく、なんだかぼーっとして、
本の中の情景が浮かんできて、その中に居座ったり、
登場人物と自分を重ね合わせてみたり、
ある台詞を繰り返しつぶやいてたり、
そうして、本の中の世界からなかなか抜け出せない、
そういう本がある。
この本が、そういう本だった。
とにかく、この本の中に描かれた、ある女の異様さが頭から離れなかった。
著者は、結局、この女を書きたかったのではないか、
と思えてならないほどである。
ただ、その分、他の登場人物のふるまいには、無理が生じている。
少なくもと私には、なんだかとってつけたような感がある。
私は、普段はこんな感じの批判めいたことは、ここに書かないようにしているのだが、
久しぶりに忘れられない衝撃と、その衝撃をぼかすようなストーリーに、
なんともやりきれない思いでいっぱいなのだ。