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『九月が永遠に続けば』沼田まほかる

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)


読み終えてしばらく、なんだかぼーっとして、

本の中の情景が浮かんできて、その中に居座ったり、

登場人物と自分を重ね合わせてみたり、

ある台詞を繰り返しつぶやいてたり、

そうして、本の中の世界からなかなか抜け出せない、

そういう本がある。


この本が、そういう本だった。


とにかく、この本の中に描かれた、ある女の異様さが頭から離れなかった。


著者は、結局、この女を書きたかったのではないか、

と思えてならないほどである。


ただ、その分、他の登場人物のふるまいには、無理が生じている。

少なくもと私には、なんだかとってつけたような感がある。


私は、普段はこんな感じの批判めいたことは、ここに書かないようにしているのだが、

久しぶりに忘れられない衝撃と、その衝撃をぼかすようなストーリーに、

なんともやりきれない思いでいっぱいなのだ。