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女探偵は死を見つめる いやーな読後感に、はまる人はハマるミステリー

依頼人は死んだ 若竹七海 (文春文庫) 

 書いた人はどんな人

この本の著者は、名だたる賞の受賞者でもなんでもない。

けれども、Wikipediaで見ると、

その中で一貫して人の心の中に潜む悪意を描いているところに特徴がある。

と紹介されていました。

こういう特徴は、好きな人には好かれ、ハマる人はハマるのでありまして、もちろん私にとっては大好物なのであります。

著者の作風が気に入り、この本を買いました。

 

内容

主人公は、女探偵の羽村晶。それぞれ完結した9話からなります。

命を狙われた女の警護。女を狙っている者の真意は?

突然、上司にけがを負わせた女。 その経緯と動機は?

あるクリスマス・イブの記憶のない男。 その日一体何が?

 

主人公の葉村は、女性と言う設定ですが、冷静で飾りっ気はなく、か弱さ的な演出のためかと思うくらい、女性であることを感じさせない人です。主人公自身が、この本全体に暗い影を落とすような存在なのです。

 

また、この本では、ミステリーらしからぬ自殺ネタが多く、それだけに、読み進めるごとに、その動機となるストーリーが、読み手に重くのしかかってきます。

うまく言えませんが、探偵というと「痛快なアクション」という感じのイメージですが、この本は全く逆と言っていいと思います。

 

感想

9話どれも比較的短いストーリーながら、事実関係と人の想いが絡まり、謎が解ると開放感ではなく、イヤーな虚脱感が読み手を包むという、なかなかしっとりとした仕上げになっております。

 

この本を読むと、人の妬みというものが、世の中で一番黒い、という気がしてなりません。

 

そして、最後の最後の仕掛けに、うーんと頭をもたげた私。

 

この羽村晶シリーズは、このあと2作続いていますので、これは読むしかないのかなと観念しております。

  

 

*私のオススメの本あります

tetuneco.hatenablog.com