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たまには家族のことを思い出すような、そんな小説を読んでもいいと思う

戸村飯店 青春100連発 瀬尾まいこ (文春文庫) 

 

この本書いた人どんな人

 この本を書いた瀬尾まいこさんは、中学校の国語の講師を経て教員になる傍ら、執筆活動を行っておられた方で、教員を退職されるまでの間にも、数々の賞を受賞されています。
この本も教員時代に書かれ、平成20年に坪田譲治文学賞受賞されています。
 
 
内容は
大阪の下町に戸村飯店という中華料理屋さんがあります。
その店には、ヘイスケとコウスケという全く性格の異なる兄弟がいます。
 
兄のヘイスケは、戸村飯店を継ぐ気も見せず、ふらりと東京へ出て行ってしまいます。器用に生きているようでいて、案外繊細です。
弟のコウスケは、戸村飯店を継ごうと張り切っています。店の手伝いも高校生活も同じように大張り切りです。 
 
この本ではそんな二人が、それぞれ一人称で語り、二人の成長が二人それぞれの視点から描かれています。
 
 
 
私の感想
 
ふらりと東京に出て行った兄のことが全く理解できない弟。
 器用に生きているようでありつつ、どこか弟の素直さを羨む兄。
 
仲がような悪いような、どうしても意識し合ってしまうのが、兄弟なのかな。
 
 
戸村飯店は、親父とお袋が営む中華料理店で、お互いにわかっている部分とわかっていない部分があるけど、全体として、互いに愛情を持って暮らしていることがわかります。
 
青春は100あったのか、よくわからなかったけど、読み終えたらなんかあったかい気持ちになれました。
 
 
それはたぶん、親父がヘイスケとコウスケの一番の理解者だということが、この物語に大きな安心感を与えているのだと思います。
 
 
 私自身は、あんまり家族という単位に重きをおいてはいないのだけど、たまには、こういう心温まる本も読むといいね。
 
家族の温かさを本から学ぶとか、それ自体どうなんだと思うけれど、そういう価値観は広く社会に共有されているみたいなので、私も時々、社会一般の価値観を共有しておかないと仙人になっちゃいそう。 
 
 
私にも兄弟がいるけど、長い間会ってないなぁ。
 
こういう本を読んだからって、電話したりメールしたりする気もないけど、一応思い出せたらから、今日はこれでよしとしよう。