戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在 藤原帰一
この本書いたのどんな人
この本を書いたのは、政治学者。
東京大学社会科学研究所教授です。
映画もお好きなようで、毎日新聞で映画のコラムも書いておられます。
私の感想
この本は、戦争はどのように覚えられてきたのか、そして戦争の記憶から引き出された戦争観は、地域と時代によってどう異なるのか、考える試みである。
この本の「はじめに」には、こう書かれていました。
「戦争はどのように覚えられてきたのか」と。
戦争は事実としてあったことだ。
事実は一つだ、と誰もが思っている。
しかし、敗者と勝者、戦った者と守った者、それぞれの立場によって捉え方は異なる。
戦争を記憶するにしても、一つの事実が世界中で同じように記憶されるというわけではないのだ。
つまり、その事実が「どのように覚えられ」たのかが、戦争とは何かに大きな影響を与えることになる。
この本では、戦争の記憶が、地域や時代によって、どのように異なっているのかを考えようというのだ。
戦争の捉え方や考え方は、
それぞれの社会における歴史的・社会的経験と記憶に支えられている。
戦争を忘れてはならないと語る人が多い時代だけに
なぜ、覚えようとするのか、考えてみよう。
戦争を語り継ごうという人がいる。
私たちは、一体、戦争の何を記憶しようとしているのだろう。もっといえば、戦争の何を記憶させられているのか。
戦争を忘れてはならないのは、なぜなのか。
日本においては、たいていは戦争の悲惨さ、命の尊さといったものが、戦争の記憶として伝えられ、戦争を意味づけている。
確かに間違いではないが、それは与えられた意味付けではないだろうか。
そして、それは、日本の日本の為の基準で意味づけられたものにすぎない。
戦争のことを考えることは、決して楽しい作業ではないけれど、多くの人に、どうかこの本を読んでほしいと思う。
この本は、私の戦争観というか、歴史観を大きく変えてくれた本であり、ほんとに、手にとってよかった一冊だ。
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