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本を読んで社会をのぞき見

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五千回の生死 死を身近に感じられる人は、きっと生きられると思う

小説 小説-物語

 五千回の生死 宮本輝(新潮文庫)

五千回の生死 (新潮文庫)

宮本 輝 新潮社 1990-04-27
売り上げランキング : 159221
by ヨメレバ

 これまで、宮本輝さんの本は読んだことがありませんでした。

どうしてこれまで読んだことがなかったのか、いろいろ考えてみたところ、タイトルと表紙から伝わる温かい感じのせいなのではないか、と思っています。

 

この本は、友人の本棚で見つけた本でした。

本屋さんは図書室では、絶対に手に取らないような本でも、友人の本棚で見つけて読みたくなったりするから不思議です。

 

さて、内容はというと、短編が9つ。どこかちょっと不思議で、やっぱり温かい感じのお話が並んでいます。大阪弁のせいでしょうか。

 

特に、タイトルにもなった「五千回の生死」が私は一番気に入っています。

「俺、一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりするんや。兄貴も病院の医者も、それがお前の病気やて言いよるんやけど、あれはなんぼ考えても病気やとは思われへん。みんなそうと違うんか?お前はどうや?」

 

私もそうだけど病気じゃないよ。

 

私は、「死にとうなったり、行きとうなったり」します。

だけど、死にたくなってもそうそう死ねない。それに、生きるというのは一回限りの現在進行形だから、生きたいかどうかにかかわらず、生きなきゃなんない。

生きなきゃなんないと思うと、なんか死にたくなるから、どうしても「死にとうなったり、生きとうなったり」を繰り返しちゃうんじゃないかなぁと思っています。

 

このお話では、「死にとうなったり、生きとうなったり」する奴と俺が自転車に二人乗りで俺の自宅を目指します。

その間に何度も「死にとうなったり、生きとうなったり」する奴。その度に自転車を降りる俺。それがいつしか、

 

そいつは何回「死にとうなってきたァ!」って叫びよったと思う?その度に俺はそいつの体に巻きつけてる腕に力を込めて、

「心配すんなァ。一緒に死んだる。」

 

「死にとうなったり、生きとうなったり」する奴は、俺と一緒に現在進行形を生きることができたんじゃないかと思いました。

 

そしてなぜか私は、「死にとうなったり、生きとうなったり」する奴が長生きするような気がして、すごく羨ましく思いました。

 

五千回の生死 (新潮文庫)

宮本 輝 新潮社 1990-04-27
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