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本を読んで社会をのぞき見

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果しなき流れの果に 時間と空間を自在に操る著者の筆力に酔う

 果しなき流れの果に 小松左京(ハルキ文庫)

 

この物語の始まりは、いったいどこなのだろう。

 

この物語の幕開けは、恐竜の生きる時代からです。

まるで、著者が実際に見てきたかのような臨場感あふれる世界がそこにはありました。

そして、蘇鉄の巨大密林の中で食うや食われるかの争いをする恐竜たちの傍で、響く電話の音・・・

 

次の世界は、現代の日本でした。

上から下へと落ちる砂が、一向に減らない奇妙な砂時計を見せられた野々村は、その謎を解き明かすため、大阪へ向かい、忽然と姿を消します。

奇妙な砂時計の発掘場所で聞いた、土の壁の足音、電話のベル。

 

恐竜の生きる時代の電話の音、現代に紛れ込んだ四次元の砂時計。

 

 

通常の時間の流れとは異なる時間の流れが、著者によって生み出され、読み手は、自在に時間を進み、遡ります。

また、場所も、地球、火星、宇宙船、宇宙、地球外の惑星と移動します。

 

物語の舞台は目まぐるしく移動し、私たち読者は、時間をそして宇宙を旅していくのです。

 

そうして、この本を読み進めていくうちに、いつしか私は、この物語の始まりは、いったいどこなのかということが、わからなくなりました。

 

おそらく時間旅行が可能となった未来を支点として、この物語が構成されているのだと思いますが、過去を変えたことで、その以後の時すべてが不安定になりました。

 

この本の中を流れる、ぐにゃりと歪んだ時間の流れは、落ちても落ちても減らない砂時計のように、ある一点では、一方向に流れ落ちる砂時計のごとく一方として捉えられるけれども、その一点を除いては、不可思議なループを描いているのかもしれません。

 

私は未来に進むことはできないと思っています。

未来が定まっていて、未来に行くことができるのであれば、時間旅行、宇宙旅行ができるようになるのを待つ必要がないと思うからです。

 

とはいえ、久しぶりに読んだSF作品は、これまで読んだどんなSF作品よりも創造性に富み、そこには一つの宇宙があり、時間がありました。

 

 *私のおすすめ本リストはこちらです

tetuneco.hatenablog.com