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教養主義の没落 確かに没落したかもしれない しかし教養主義は不滅です!

教養主義の没落―変わりゆくエリート学生文化  竹内洋

教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化 (中公新書)

教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化 (中公新書)

ここで教養主義というのは哲学・歴史・文学などの
人文学の読書を中心にした人格完成を目指す態度である。

著者のいう「このような態度」は、
その昔、エリートと呼ばれる人たちの間でもてはやされており、
こぞって読書をした時代があったらしい。

教養知は、友人に差をつけるファッションだった。
なんといっても学のあるほうが、女子大生にもてた。
また女子学生も教養のあるほうが魅力的だった。

のだそうだ。


ところがどうだろう。
今、教養を身につけることを

この本では、教養主義がどのようになぜ崩壊したのかを
ゆっくりと時代を追って解説していく。
決して、昔はよかったとか、
このごろの若いもんはなぜ読書を軽んじるのか
などといった、説教じみたところはない。

著者は、

教養主義の終焉は特権的教養を放逐したが、
同時にさきに触れた大衆的平均人(サラリーマン的人間像)文化と
適応の文化(実用主義)の蔓延をもたらしたのではなかろうか。

とその原因を推察する。


そういえば、
私は、ここでいうところの教養をもたらす本も読むが、
実用主義的な本、たとえばビジネス関連の、
常に、費用と効果を対応させ、効率を重んじるような本も読む。

確か、実用主義的な本に、
「邪魔になる読書もある」というようなことが書いてあった。
おそらく哲学書を読むことなどがその部類に入るのであろう。

このように、現代では

教養主義が終焉したがために、
教養が軽んじられ、雑学とまでいわれ、
いやはや実用主義はかくも大手を振っているのだ。

残念だ。。
なんでも成果が求められる時代だからね、仕方ないのかな。

とはいえ、私は、この本によって、
私は教養主義なろうと決めた。
いいじゃないか、時代遅れだって。

もてたいんじゃない、もてたいんじゃないよ、私は。
(いや、今は教養があってもてないのだった。Time Machineが欲しい。)

今後、雑学博士と呼ばれないために、
読書が、上っ面な知識の蓄積とならないよう、
読書によって得たことを人格形成へと結び付けていく努力を
続けていきたいと思う。