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漢字を楽しむ トメ、ハネはこだわらない 大人が漢字を楽しむ本

漢字を楽しむ 阿辻哲次

漢字を楽しむ (講談社現代新書 1928)

漢字を楽しむ (講談社現代新書 1928)


平成28年2月29日に文化庁から、このような指針が出されていました。

文化庁では,平成26年度から文化審議会国語分科会漢字小委員会において,「「手書き文字の字形」と「印刷文字の字形」に関する指針の作成」に関して検討を進めてきました。このたび,その検討結果が国語分科会において「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(案)として報告されましたので,お知らせします。

内容は、というと、文化庁のHPに経緯としてこのような記載がありました。

 漢字の字体・字形については,昭和24年の「当用漢字字体表」以来,その文字特有の骨組みが読み取れるのであれば,誤りとはしないという考え方を取っており,平成22年に改定された「常用漢字表」でも,その考え方を継承している。
 しかし,近年,手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。また,文字の細部に必要以上の注意が向けられ,正誤が決められる傾向が生じている。
 今回の報告では,漢字の字体・字形について詳しく解説するとともに,常用漢字(2,136字)全てについて,印刷文字と手書き文字のバリエーションを分かりやすく例示している。

とまあ、要するに、文字特有の骨組みが読み取れるのであれが、はねる、とめるなどの文字の細かいところまで気にすることはなく、正しいとか、誤りとかするようなことではないということのようです。

文化庁のHPより抜粋したもの
例えば、「木」という時の真ん中のは、とめてもいいし、はねてもいいらしい。
f:id:tetuneco:20160303170324p:plain

詳しくはこちらを↓
www.bunka.go.jp


このニュースを見て、真っ先に思い出したのが、この本「漢字を楽しむ」です。


私は、ずばり漢字が苦手です。
なんといっても、小学生の頃に何度も書いたノートへの書き取りが辛かった!

この頃は、本を読んでいる割に、そんなに知らないし、漢字を手書きする機会も減っているので、ますます漢字の苦手感に拍車がかかっています。

漢字を楽しむなんて無理だ!とも思いましたが、楽しませてくれるのならと、この本を手に取りました。

恐る恐る読んでみると、前書きから楽しさがにじんでくるような書きぶりで、いい予感がしてきます。


この本は、「漢字を読む」「漢字を書く」「漢字を作る」の3部構成となっていて、漢字が苦手な私でも途中で挫折しないように、3つの観点から漢字に迫る構成なっています。

中でも、「漢字を書く」には、大変興味を惹かれました。

皆さんも、学生時代に、漢字の書き取りやテストで「はねる」か、「とめる」かについて結構しつこく教え込まれた記憶がありませんか。

覚えるこちらとしても、どうしてはねなきゃいけないのだろうなんて疑問に思う余地もなく、決められたとおりに、はねる、とめるを覚え込むしかありませんでした。


そんなトメハネ問題について、この本では、「第二章1漢字の「書き取り」を考える」として、字の書き取りテストにおける採点基準を問いただす「漢字テスト」の不思議というビデオが紹介され、
そのビデオでは、

「鐶」という字の右半分(いわゆる「ツクリ」の部分)下部にある縦線の「トメ」をハネて書いたからという理由でバツをつけられた、などのケース

が取り上げています。

どうして、そんなに厳格にしてまで、ハネる・トメるを区別しなくてはいけないのか、このトメハネ問題について、著者は、「漢字を書く」の中で迫っていきます(気になるでしょ?)。

この本を読むと、漢字の記号としての面白さが発見されます(この辺がヒントです。)。


大人になってからは、漢字を読んだり書いたりを厳密にすることは減りました。そんな今だからこそ、漢字を楽しみながら学ぶことができると思います。


さて、文化庁はあえて、漢字の瑣末に捉われるなと発表したのでしょうか。
文化庁のHPには、

手書き文字と印刷文字の表し方に習慣に基づく違いがあることが理解されにくくなっている。

とあります。

印刷文字が正しいということではないということでしょうか。
印刷文字に統一されていってしまうことを懸念しての発表でしょうか。


ショウワノート ジャポニカ学習帳 漢字練習 84字 補助線入り JL-49 5冊パック*5

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漢字を楽しむ (講談社現代新書 1928)

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