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『自由とは何か』自由がわからない者は、自由を求めてはならない・なんてね

自由とは何か 「自己責任論」から「理由なき殺人」まで (講談社現代新書)

自由とは何か 「自己責任論」から「理由なき殺人」まで (講談社現代新書)

『自由とは何か』佐伯啓思


この本を読んだのは、年の暮れ。

年の瀬に、この本を振り返って、日記を書くことになろうとは。

難しい課題だと思う。



振り返ると、この一年、

「自由」が大手を振って歩きまわり、

個人の自由を優先した身勝手な犯罪など、

理不尽極まりない事件が多かったように思う。

「自由」という言葉はほとんど自動的にその価値を増殖しており、

われわれはだれもが「自由でなければならない」という強迫観念さえ持っている。

しかし、それにもかかわらず、今日、「自由」の輪郭は確かではなく、

そもそも「何のための自由か」ということも明瞭ではなくなっている。


法律に反していなけりゃいいじゃないか。自由でしょ

迷惑かけてなきゃいいじゃないか。自由でしょ

ときには、

何で人を殺しちゃだめなんだ、などという者までいる。

自由って、そういうことだったっけ?


まさに、自由の価値は増殖している。

無条件に自由そのものに価値があるのではなく、

その自由によって何をなすかこそが重要なのだ。

 

なるほど、自由は言い換えるならば、「可能性」だ。

なんでもしていいとは、ちと違う。のだろう。



ああ、あと5分で年越し。

自由とはなんぞやと考え込んでいたら、もう、こんな時間。



みんなが、自由だ自由だといって、自分のことばかり考えて、

大手を振って歩いていると、人とぶつかることだってある。


来年は、そんな時には、お互いの自由を尊重し、笑いあえる社会になるといいなぁ。

自由とは何か 「自己責任論」から「理由なき殺人」まで (講談社現代新書)

自由とは何か 「自己責任論」から「理由なき殺人」まで (講談社現代新書)