dokusyo

本を読んで社会をのぞき見

読書記録・本のおすすめ・その他もろもろ

異邦人 とにかく私の好きな本

異邦人  カミュ,窪田啓作

好きだ。この本、好きだなあ。

母の死の翌日海水浴に行き、
女と関係を結び、
映画を見て笑いころげ、
友人の女の出入りに関係して人を殺害し、
動機について「太陽のせい」と答える。
判決は死刑であったが、
自分は幸福であると確信し、
処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて
迎えてくれることだけを望む。
通常の論理的な一貫性が失われている男
ムルソーを主人公に、不条理の認識を
極度に追求したカミュの代表作

どういうわけだか、

この本を読んで爽快な気分になった私がいた。

この本を読んだことがある人は、

どうしてこんな人でなしの物語に?

と思うかもしれない。


たぶん私は、

愛、思いやり、良心、絆などなど、

世の中の人々が形もないのにあると信じているものの存在を、

否定したいと思っているのだろう。


そんなものはないんだよと、大声で言ってみたい。


とはいえ、

私は、ムルソーのようには生きられないことも知っている。

愛、思いやり、良心、絆なんかは、

私にとっては都合のいい仮面だ。


だからこそ、不条理な彼の姿に、

仮面を取った私の中の姿を重ねて、

なんだかスカッとしてしまったのだろうと思う。



巷では、愛は地球を救う、などといっている。

そして、信じる者は救われる、らしい。



ありもしない何かに、一体私たちは何を求めているのだろう。


一体全体、私たちは、何から救われるのだろうか。
一体全体、私たちは、何を恐れているのだろうか。



突き詰めれば、それは、死ではないのか。

それは、彼が受け入れたものではなかったか。



*「異邦人」は「新潮文庫の100冊」に選ばれています。

*おすすめの本リストあります
tetuneco.hatenablog.com