dokusyo

本を読んで社会をのぞき見

読書記録・本のおすすめ・その他もろもろ

流れる星は生きている 母は強し 私も強く生きるための何かが欲しい

流れる星は生きている 藤原てい

流れる星は生きている (中公文庫BIBLIO20世紀)

流れる星は生きている (中公文庫BIBLIO20世紀)

著者は、私の大好きな藤原正彦さんの母上である。
(藤原正彦さんは、この本を書いた人です↓)
祖国とは国語 (新潮文庫)
国家の品格 (新潮新書)

この本は、著者である母と子2人が、
夫と離れ、敗戦後の満州から日本の故郷へと引き揚げる壮絶なさまを描いた本だ。

私は、実のところ、戦争ものの話は好きでない。
というのも、決まってどれも、悲しくてつらくて切なくて、
その奥に、どこかお涙ちょうだい的な雰囲気を感じてしまうからだ。


もちろん、書く方はそんなつもりはないだろう。

しかし、本や映画はいわゆるエンターテイメントの一つであって、
多少なりとも、そういう一面はぬぐえないのだと思う。

ただ、私があまのじゃくなだけなんだろうけれども。


この本は、そういうところがまるでない。
なにしろ著者は、この本の中で人生を生きて、生きて、生き抜いて、
誰からの同情も必要としていないのだから。


私は、歯をくいしばるようにして、この本を読み、著者とともに祖国に降り立った。


ああ、帰ってきたんだ。


いいようのない疲労感と共に、私は本を閉じた。

めずらしく生きたいと思えた本だった。

追記

藤原正彦さんの本は、こんな本も読んでいます、
tetuneco.hatenablog.com