入門 犯罪心理学 原田隆之(ちくま新書)
この本書いた人どんな人
エビデンスに基づいた心理臨床、認知行動療法による犯罪・非行の治療、依存症・アディクション
内容は
この本では、過去に起きた犯罪事件を挙げ、マスコミが作ったストーリーに惑わされず、証拠(事実)をもとに、犯罪心理学の観点から丁寧に解説されています。
この部分を読むだけでも、私たちがいかに犯罪について、また、犯罪心理学に対しても、様々な誤解をしていることがよくわかります。
また、犯罪心理学については、これまでの学説や発展を解説するほか、新たな犯罪心理学の展開についても述べています。
思っていた以上に犯罪心理学の守備範囲は、
人はなぜ犯罪を行うのか、犯罪に至るものとそうでない者はどこが違うのか、犯罪者が立ち直るすべはあるのか、犯罪はどのようにすれば防止できるのか
など、広く多岐にわたっています。
この本は、犯罪心理学の入門編として、この広い守備範囲を初心者にもわかりやすく解説してくれます。
私の感想
犯罪心理学というと、火村英生を真っ先に思い出した私。
犯罪心理学というと、犯罪を分析して犯罪者を捕まえる、というようなイメージを持っていました。
しかし、この本を読むと、犯罪心理学というのは、いかに犯罪を減らすかに重きを置いているように感じました。
まあ、エンターティメントである小説と学問をごっちゃにしていた私も私なのですが、犯罪、犯罪者そして犯罪に関する学問については、正しい認識を持つべきであると思います。
それは、
われわれが犯罪だと思っているものは、実はニュース用に作られた「ストーリー」であって、実際の犯罪の姿とは大きく異なっている可能性が大きい。
のだそうです。
小説や映画などのエンターテイメントの世界や、ニュースなどのマスコミの作る世界とは、一線を画して、正しい認識を元に犯罪を捉えるための基礎知識を持つことで、社会を正しく理解できることへと繋がっていくと思います。
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