新訳 走れメロス 他四篇 (森見登美彦)
この本書いたのどんな人
森見登美彦氏は、どんな人なんでしょう。
あ、いや、ここにどんな人なのかを調べて、書くのは私でした。
なんと言いますか、いつもならウィキペディアで調べて、ちょちょっと経歴を貼り付けるだけで済ませているわけですが、実は私、森見登美彦さんのファンでありまして、こんな人ですよ、というふうに、森見氏のことを簡単に形容したくない気持ちなのです。
まあ、作品を読ませていただく限りではきっと、妄想ほとばしるお茶目なお方なんだろうなと思われます。
この度、調べて初めてわかったことですが、はてなブログを使用しておられました。
これは嬉しい。
しかも、著者のブログは、大変なまったりぶりでありまして、ますますファンになりました。
ブログはこちらです↓
内容
この本では、大人の暴走ファンタジーをお書きの著者が、
「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」、「桜の森の満開の下」、「百物語」を、
著者の妄想力を最大限に発揮して、いつもの森見ワールドへと変換している。
そしてやっぱり、4つの物語の舞台は、大学。
もちろん登場するのは、一筋縄ではいかない男子学生の面々だ。
そして女の子は、男たちにつれない。
4つの物語が、登場人物でゆったりとつながっているのも素敵だ。
この本は、 元の物語と森見ワールドを同時に楽しめる、読書上級者向けの本だと思う。
私の感想
過去の名作を、著者がどう料理するのかが楽しみで、この本を開いた。
読んでみると、元の物語のモチーフを生かしつつ、全くもって著者の世界観に仕上がっていて、感嘆するやら何やら。
しかも、偉大な名作をモチーフにしているだけあって、いつもの馬鹿馬鹿しさにも何やら崇高な幻想のように感じる。不思議な感覚だ。
ファンタジーというと、勇者や賢者、妖精なんかが出てきて、冒険をしたり、お姫様を助けたりする。
著者が書く大人ファンタジーはこうだ。
己を貫く悩める男たち(勇者)や、なんとなくまともな人(賢者)、遠くから見るだけの憧れの女子(妖精)が、京都の街を舞台に、勇者は片思いを貫き、男のロマンを達成する。
いつまでもこうあってほしい。
* 私の好きな森見登美彦10選