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小さな下宿ふうのアパートにて ここでいいより ここがいい暮らし

お家賃ですけど 能町みね子(文春文庫)

 

 

この本書いたのどんな人

この本を書いたのは、エッセイスト、イラストレーターさんです。

どうやら人生の途中で、男性から女性になられたそうで、そういった経験もいくつか本にされておられます。

 

検索してみたら、はてなブログで、ブログを書いておられていて、なんだかちょっと親近感が湧いてしまいました。

 

気になった方はこちらを↓ 

nomuch.hatenablog.com

 

ほんとかどうか定かではありませんが、ウィキペディアによると東大卒なのだそう。

何気なく書かれているようである文章が、繊細で美しく見えたのは知性のなせる技かも(私が学歴に弱いだけかも・・・。)。

 

内容

東京牛込にある小さな下宿ふうのアパートに、著者は「加寿子荘」と名付けています。

正式な名前はなく、著者が大家さんの加寿子さんからとって名付けました。

 

築40年を誇る加寿子荘は、玄関も階段も下駄箱も共同ですが、加寿子さんがせっせと磨いてピカピカです。アンティークにある長く愛されたものの輝きのようなものが、建物全体を包んでいます。

 

この本では、著者の加寿子荘での毎日を淡々と綴っています。

多くを求めず、飾り立てない、これで十分という脱力した毎日です。

 

この本は、ふわふわとして可愛らしい本でした。なので多分、著者って、ふわふわとして可愛らしい人なんだろうなぁと思います。

 

私の感想

東京という街では、どこへ行っても、ごうごうと音を立てる川のように人が流れて、どこかへと向かっている。多くは駅へ、あるいは光り輝く建物へと流れ込んで行く。
 
そんな東京に、ひっそりとある加寿子荘は、人も時間も止まっているかのようだ。
ごうごうと流れる人々のたどり着く先には、私の知らない、可愛い東京がありました。
 
著者は、加寿子荘を愛している。

私も著者も大嫌いな、名前を口にするのもおぞましいGも出没するという古い建物の何がそんなに?と思わなくはないだが、なんというか、加寿子さんと磨き込まれた加寿子荘の佇まいに惚れ込んでいるのだろう。

 

私は、通勤時間1時間超は当たり前の片田舎に住んでいる。

何を好んでそんなところにと思われているが、私はここを離れる気は毛頭ない。

 

愛着ある土地や家に出会い、そこで暮らせるのは、幸せなことだと心から思う。

そしてそこが、ただ愛着があるだけではなく、背伸びをしない安らげる居場所であればなお良いと思う。

 

私は著者の多くを求めない生き方に、なんだかホッとした。

抱えすぎていたものを下ろして、小さい頃からずっと大事にしてきた自分と無理しないで生きていきたいと思った。

 

 

お家賃ですけど 能町みね子(文春文庫)

 

*おすすめのエッセイあります 

tetuneco.hatenablog.com