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本を読んで社会をのぞき見

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珍獣ムベンベ いるかいないかは 確かめたものだけが語ることだ

 幻獣ムベンベを追え 高野秀行

 

 

この本は、著者が大学在学中に書いたコンゴのテレ湖に住んでいるという幻の通称コンゴ・ドラゴン、本名モケーレ・ムベンベを探しに行くという本物の探検の記録である。

 

著者は、この探検を実施・成功させるため、探検部仲間11人らとともに、思いつきからメンバー集め、計画、準備、資金・機材集めに、語学の習得、現地人との交渉に食料の調達とまあ、素晴らしい行動力、プレゼンテーション力にコミュニケーション能力に加えて、リーダーシップをも披露する。

珍獣探しのためだということをおけば、本当に素晴らしい冒険の書なのである。

 

いや、珍獣探しのためにそこまでするか?という気にならないでもない。

この力をもっと別の方向に活かせばどんなに社会のためになるかなどと、凡人の私は考えてしまう。

まあ、んなこと、恐らく余計なお世話であろう。

 

それにしても、この本が出版されたのが1989年というから驚きだ。

平成になるちょっと前の昭和に、大学生にもなって、そんなこと大真面目にやっている人がいたのだ。そりゃあ誰だって驚くだろう。

 

しかも、探索のためのテレ湖滞在は30日24時間体制での観測を行ったのだ。彼らをそこまでさせたのは、いったい何だったのだろう。

 

単なるバカだと言ってしまえばそれだけだし、そういう時代だったといえばそうかもしれない。ばかばかしいといえばばかばかしい。

しかし、そのバカバカしさに純粋に取り組む若い人の無邪気な明るさと強さが輝いて見えた。

 

「珍獣なんているわけないのになにやってんだ。」って、ちょっとバカにしながら読み、上から目線でこうしてブログを書いているのは、私の彼らへの嫉妬からなのだろう。

 

 

 

その後の著者の本↓

文章がうまくなって、さらに愉快になってます。

tetuneco.hatenablog.com

 

 

 

 この本とともにこの本をどうぞ。あえて本家本元で

銀河鉄道 999

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