犬と歩けば 安岡章太郎(文春文庫)
この本書いたのどんな人
この本の著者は、
『ガラスの靴』が芥川賞の候補作に選ばれ、文壇に注目される。1953年、選考委員の評価が真っ二つに割れながらも『悪い仲間』・『陰気な愉しみ』により、芥川賞を受賞
しておられます。
また、
批評家としても文壇の評価が高かった安岡は、芥川賞をはじめ大佛次郎賞や伊藤整文学賞選考委員も務めた。また学校国語教科書に、1955年著の「サアカスの馬(サーカスの馬)」が採用されている。
素晴らしい作家さんと聞いて、前からずっと読みたいなと思っていましたが、芥川賞はなんだか敷居が高い。
そこで、まずはエッセイからと思い、この本を読みました。
内容
この本は、著者と犬にまつわる第二作に当たり、著者と愛犬コンタとの日常が綴られています。
コンタは紀州犬で、物静か。高倉健のような犬です。
(私は決して、高倉健が紀州犬のようだと言っているわけでなない。)
コンタと一緒に歩いた道や、近所の犬とのケンカやコンタの逃亡などなど、犬と共に暮らすことから見える日常は、淡々としています。
しかし、そんな中にも、心動かされる一コマがあって、ぽっと心に温かみが生まれる、この本は、そんな素敵な一コマを重ねた温かな本です。
私の感想
日本犬は地味だ。だが、引き締まった体、ぱんと張った体に短い毛並みで、とっとっと歩く。余計な飾りもなく、人と暮らすにはちょうどいい大きさだ。
紀州犬のコンタは物静かで辛抱強く、でも散歩に行けば、喧嘩っ早くて、時々どこかへ逃げ去ってしまったりと、やや野性味がありつつ実直なやつで、犬らしい犬といった感じだ。
外国から来たふわふわとしたワンちゃんもいいが、日本犬の凛々しい姿も忘れてはいけないと思った。
さて、この本で著者は、コンタを良き相棒として温かくながめている。
飼い犬は飼い主に似るというが、私は、ついついコンタと著者を並べて見ていて、いつしか著者とコンタを重ねてしまう。
この本を読んで、実直なコンタの姿と、淡々と日常を綴る著者の姿に、古き良き日本を感じることができ、心が温かくなった。
そして、私はゴリゴリの猫派だが、いつか私も犬を連れて、いつもの道を、阿吽の呼吸でいつものように歩く、そんな散歩に行きたいと思った。
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