幻奇島 西村京太郎(双葉文庫)
この本書いた人どんな人
西村京太郎さんといえば、この方なしに、サスペンスドラマは語れないというくらいで
、本を読んだことはなくても、テレビドラマを見たことがあるという人は多いのではないのでしょうか。
西村京太郎さんといえば、やっぱりトラベルミステリーですよね。
十津川警部と亀さんが、列車に乗ると事件が起きる。
サングラスに大きな帽子の女性が列車に乗ると、死体が車両に残される。
日本全国を舞台に旅情ある文章も西村京太郎さんの魅力です。
内容
西村京太郎さんって、トラベルミステリーから離れてみても、結構いい作品がたくさんあるんです。
この幻奇島もトラベルミステリーとは違います。
この本は、西村京太郎さんの初期の代表作なんだそうです。
車で引いたはずの女が消えた。
おかげで交通事故はうやむやになったが、主人公は事故を理由に、石垣島のその先の小さな島の診療所に行く羽目になってしまった。
その島は、古くからあるしきたりを守り、 神と巫女が住む信仰の島だった。
この本は、殺人事件と信仰の入り混じり、ミステリーでありつつ、幻想的な雰囲気を持つ作品です。
私の感想
この本は、島が舞台になっていて、二週間に1回しか石垣島との連絡が取れないという設定です。
そんな島で殺人事件が起こるわけですから、当然、クローズドサークルミステリーなのかなと思って読み始めたのですが、この本は、それにとどまりません。全然違いました。
確かに、この島の誰かが犯人だ、という点ではそうなのですが、何がそうさせたのか、というホワイダニットの要素の方が、印象として強いです。
そして、事件が起きたその背景と島に伝わる教えや予言、神と島民との関わりなどが、絡まり合っていて、ミステリーとしても十分楽しめますが、幻想的な民族物語としての美しさもあります。
とにかく、序盤から不思議な書き出しにぐいぐいと引き込まれて、この本を読み終える頃には、
いやーまいった!西村京太郎恐るべし!
と感嘆いたしました。
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