書くことが思いつかない人のための文章教室 近藤勝重(幻冬舎新書)
この本書いたのどんな人
この本の著者は、
毎日新聞専門編集委員。コラムニスト。
早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースに出講、「文章表現」を教えている。
著者は、事実を正確に伝えるという新聞の世界で書く、まさに書くことのプロというべきお方なのだ。
文章術に関する本も多数書いておられて、私は同著の『必ず書ける「3つが基本」の文章術も読んでいて、参考にしています。
こちらです↓
内容
この本では、文章を書く上での基本的なルールや表現法を中心にまとめている。
とりわけ、書くべきことが浮かばないとき、文章のもとになる体験をうまく引き出すための手立てや技法を実践的に習得することを願って書かれています。
頭のチャンネルをちょっと切り替える程度で題材が浮かんでくる文章術や、描写力がつき、気のきいた比喩が思いつく方法などもいろいろ紹介しています。
というから、何かを書きたいという人には、心強い本だ。
この本は、課題やテーマを与えられて、何かしらの文書を書かなければならない人、エッセイやブログ、SNSなどに、自分の思いを文章にして誰かに届けたいけれど、何からどう書いていいのかわからない人、そして、いい文章を書きたい人にオススメの本です。
私の感想
何かを書きたいという思いは、年々強くなっている。
それは、私自身を表現したいという思いと強く重なる。
私の書きたいという思いとは裏腹に、スラスラと書けるはずもなく、そう簡単にはいかない。
例えば、「真夏」というタイトルで作文を書こうとする時、著者は、「思う」ことより、「思い出す」ことを書くべしという。
作文は「思い」の産物です。「思い出す」ことも「思い」の世界にあるものです。
何かを書こうとする時、ついつい「私はこう思う」と綴りたくなるものだ。しかし、胸中にある思いなど描写のしようがない。
一方、真夏と聞いて思い出される、立ち上る入道雲や、むせかえる室外機からの熱風、夕立後の涼やかな空気などを綴れば、読み手も情景を浮かべることができ、そこに漂う思いも共感しやすい文章となる。
著者曰く、
生への共感をはぐくむ大きな要素は、日々生きていく上での人と人、人と物、物と自然との関係性にあるんじゃなかろうかと。とりわけ大きいのは、愛する人、大切にしたい物、ありがたいなあと思える自然の存在だと。
そう考えると、文章というものも人や物や自然とのかかわり方をどう描くかであって、書いて伝えるということは、すなわちそれらの関係性がよくわかるように描かれていることだ、と改めて気づかされます。
私の思いに閉じこもり、独りよがりになることなく、思い出すことを綴っていこう。
長い人生を生きてきた。何か思い出すこともあるだろう。なんだか書けそうな気がしてきた。
そして、私と人、私と物、私と読み手をつなぐ文章を書いていきたい。
この本は、今後の私の文章に大きく影響を与える一冊となった。
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