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映画化を前に読んでみた 『クリーピー』 コワカッタ

クリーピー 前川裕(光文社文庫)

 

この本書いた人どんな人

この本の著者は、日本の小説家、文学者であり、法政大学国際文化学部教授であります。専門は比較文学、アメリカ文学なのだそうです。
大学教授でありがら、2003年に『怨恨殺人』が第7回日本ミステリー文学大賞新人賞の最終候補となり、2011年に『クリーピー』で第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、2012年に同作で本格的に小説家デビューしておられます。

前川裕 - Wikipediaより)

 
 

 

内容は

主人公は、犯罪心理学を専門とする大学教授であり、テレビに呼ばれて異常事件の解説をしたりもします。妻と二人で暮らしています。
 
よくある主人公ですが、隣人は夫婦2人と兄妹の4人暮らし、のはずでした。
ところが、母親と兄は、ほとんど見かけなくなり、妹(澪)は、怯えるような様子を見せはじめ、父親は冷酷な表情を見かけるようになりました。
心配した妻に「あの人は父親じゃない。」と話す澪。
 
隣人は一体誰なのか。心理的な恐怖が読み手に迫ります。
 
 

私の感想

この本は、映画の予告編を見て、直ちにAmazonで購入しました。

映画には、いいキャストが揃っていたので、きっと原作もいい作品に違いないという予感がしたのです。

 

さて、この本、内容にもあるとおり、隣人が入れ替わっているかも的なお話ではあるのですが、それだけではないんですよねー。

 

「あの人は父親じゃない。」というセリフが衝撃的で、

隣の人どうなった?確かに、隣のお父さんが入れ替わって違うおじさんになってたってわからないかも・・と思い始めて、恐怖が現実味を帯びて迫ってきます。

 

話はそれでは終わりません。隣人は以前にも成りすましを行っていた殺人犯かもしれない。悪を人の形にしたような人間なのかもしれないのです。

 

そうしておいて、ラストは意外な結末にたどり着きました。

 

この本を読む前に、笑いに関する本を読んでいました。

その本では、

笑わせるためには、オチは思いがけないほうがいい。 

 とし、

ミスリードによって生まれる点線と実践との落差が落ちを可能にするわけで、オチそのものが必ずしも面白かったり可笑しかったりする必要はない

と書かれていました。

必笑小咄のテクニック (集英社新書)より)

 

この本では、非常に素晴らしいミスリードが行われています。

 いやもう、すぐ騙される人の代表みたいな私は、著者が示した標識に導かれて、著者の思うように結末まで突き進んでしまいました。

 

そのおかげで、オチを楽しむことができました。

 

この本は、迫る恐怖に怯えつつ、結末は暖かく柔らかに。

映画にもマッチしていますし、映画の方も期待できそう。

 

 

*おすすめの本あります 

tetuneco.hatenablog.com