11枚のとらんぷ 泡坂妻夫 (角川文庫)
久しぶりに楽しい本を読みました。
殺人事件の起こるミステリーですので、楽しいという表現は不謹慎かもしれませんが、ミステリーの構成が凝っていて、こういう作品に出会うと、ミステリー好きは楽しくなってしまって、ダメですね。
アマチュアのマジッククラブ、マジキクラブのメンバーたちは、日頃の練習の成果を、市の公民館20周年記念ショウに出演することになりました。そのマジキクラブのメンバーである私も、そのショウに出演します。
物語の1部は、そのショウの描写がほとんどです。
そして、そのショウの最中に、メンバーの1名が殺害されてしまいます。
2部は、主人公が書く「11枚のトランプ」という本です。殺人事件のあったショウの当日と、その種明かし部分の3部の間に、主人公の書いた本の内容が挟まっているという構成になっています。
ただし、その本は、主人公が考えたという11の奇術を集めた短編集であり、マジキクラブのメンバーに実際に奇術を演じてもらい、そのまま書いたという設定になっています。
11もの短編を読み終えてようやく、殺人事件の種明かし部分である3部へと続きます。
しかし、もちろんこの11の短編も殺人事件を解き明かすための重要な役割をしているのです。
この11の短編集も小さいトリックが仕掛けられていて、それはそれで読み物として楽しくて、私のようにボケーっと、トリックおもしろいわーっと読んでいると、ミステリーの種明かしの時に、もっとちゃんと読んでいればと悔やむことなります。
3部の種明かしでは、ようやく全てが繋がっていきます。
登場人物のほとんどが奇術家であり、マジックショウの間に、奇術の小さなトリック、その上、そこにミステリーとしてのトリックが加わり、もう面白くないわけがないです。
ミステリファンなら読んでみて。
*私のおすすめ本リスト公開していますー