64(ロクヨン) 横山秀夫(文春文庫)
この本書いた人どんな人
著者は、大学を卒業後、12年間記者を務めた後、ミステリー作家に転身されています。
「半落ち (講談社文庫)」、「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」、「臨場 (光文社文庫)」など、映画化された作品も多く、その他ドラマ化もされていますので、著書の本を読んだことがなくでも、映像化されたものを見たことをある人は多いのではないかと思います。
上司から面白いからと勧められて「半落ち」を読んだのが、著者の作品との出会いでした。
内容は
主人公三上は、長年刑事を務めたD県警の強面の広報官です。
D県警で起きた誘拐事件は、解決されないまま14年が経ち、誘拐事件の被害者を警察庁長官が、誘拐事件の被害者家族を訪問するという。
そのお膳立てを任された三上は、次第に長官訪問に隠された陰謀とD県警刑事部との対立に巻き込まれていく。
組織対組織の争いの中、組織に開けられた広報という窓に立つ三上。
この本は、上下巻に分かれていますが、重厚な造りとスピード感のある展開に、どんどん引き込まれていき、下巻は正に一気読みでした。
私の感想
久しぶりの横山さんの作品。
この本は、刑事部と警務部の軋轢、広報室と記者クラブの軋轢、家庭内の不和、未解決誘拐殺人事件、そして、D県警と警察庁の駆け引きなど、様々な要素が絡み合っていて、読み手を飽きさせない巧みな構成でした。
最後には、未解決誘拐殺人事件が1つの結論を迎え、広報室がまた、前進していくあたりは、世の働く男性人には、たまらない結末だったのではないでしょうか。
それにしても、著者が描く警察という組織が本当のところはどうなのかは、わかりませんが、本を読む限りでは、男の人が作った組織は、どこも似たり寄ったりのものが出来上がってしまうんだなぁと思わずにはいらませんでした。
男性は、組織を潰す的な構図を求める一方で、組織を作り動かすことも好きなんだろうと思います。
常々、働く男の人って大変だなぁと思っていますが、男の人にとってみれば、組織への強い愛着とともに、組織の一員であることが誇りとなっていることもあるのかなとか思えてきました。
若い人は好きじゃないみたいですが、私はそういう組織に誇りをもって生きることも、1つの道なんだろうなと思うのです。
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