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『メディアと日本人』橋元良明

メディアと日本人――変わりゆく日常 (岩波新書)

メディアと日本人――変わりゆく日常 (岩波新書)

この本では、

新聞から始まりインターネットに至るまでのメディアの発展を追い、

それを利用する日本人の変化などを統計数字により解説した上で、

いつの時代でも新しいメディアが普及しはじめると、

必ずと言っていいほどそのメディアに対して批判の声がわき起こる。

という、メディアに対する悪影響論を検証し、

今最も新しいメディアであるインターネットの悪影響についても考え、

最後にメディアと私たちのこれからについても触れている。


メディアの発展は確かに、私たちの生活を大きく変え、

今や、私たちにとって、携帯電話やインターネットは、

生きていくのに、もう切っても切り離せない存在といえ、

おかげさまで、時間や距離とは無関係に、人とつながることが可能になった。


しかし、だからといって、メディアの発展だけで、

人そのものまでも変えてしまう、というところまでは、

考えにくいのではないか、と思う。

他にも、いろんな要素が影響しているのではないかと思うからだ。


その点は、

この本でも踏まえていて、冷静な分析・解説がされており、

メディアの歴史、発展、問題点等を俯瞰するには、

良書であると思われる。


私自身、大変興味深く読めたし、勉強にもなった。


現在、私たちの周りには、

新聞、書籍、雑誌、テレビ、ラジオ、電話、携帯電話、インターネット・・・

メディアに属するものがたくさんある。


面白いことに、統計上、

PCネット利用と携帯ネット利用の二つの側面で見れば、

両者でほぼ反対の傾向が示される。

社交的でない人の方がPCネットの利用時間が長いのに対し、

社交的な傾向の人の方が携帯ネットの利用時間が長い。

また、

「自分が他人にどう思われているのか気になる」という

PCでもネットでも、自意識が高い人ほど利用時間が長い。

孤独を感じている人の方がPCにしろ携帯にしろ

インターネットを長時間利用していた。

ということがいえるそうである。


私が今こうして、

気まぐれな文章をつらつらと書き、こんなふうに読んでもらえるのも、

インターネットやコンピュータの発達の賜物なのであるが、

なるほど、孤独な自意識過剰の表れだったわけで、

何も、メディアのせいではなかったのだな、と思う。


これから、今の私たちが思いもよらないメディアが登場するやもしれない。

私は、きっと、臆せず使ってみるだろう。


そこではきっと、孤独な自意識過剰おばちゃんの花が開くと思うのだ。