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『私・今・そして神』永井均

私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)

私・今・そして神 開闢の哲学 (講談社現代新書)

この本は、「私」、「今」について、とことん考える

とことん哲学する本である。

(神については、ますますよくわからないので省いた。)



著者はいう。

「私」と「今」とは同じものの別の名前なのではないかとさえ感じている。

と。


私には、この一文が、この本すべてのように思えるほど、

いろんな疑問に答えてくれるものであり、

一方、新たな哲学の世界へと引き込むものでもあるように思えた。


この本では、とことん「私」にせまる。

私の理解の範囲になかろうと、その行為はとても楽しい。




そういえば、私ってなんだろう?とかそういうことを、

この頃、めっきり考えなくなった。

何を隠そうこの私も、ひとしきり「自分さがし」とやらをしていた時期があった。


厳密には、自分を探そうとしていただけで、

実際、どこを探していいやら、何を探していいやらで、

時間ばかりが過ぎたような日々だった。


そうして、ようやく自分なんてないことにたどり着き、

この頃は「自分づくり」に励んでいる有様である。

過去の積み重ねで、今の私を作ろうとしているのである。



今は私を、私は今を言い換えたものだとすると、

いったい私は何を作っているんだろう。


過去にとらわれず、未来に期待せず、

今、ある私をもっと感じていい気がした。