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『セメント樽の中の手紙』葉山嘉樹

『セメント樽の中の手紙』葉山嘉樹

セメント樽の中の手紙 (角川文庫)

セメント樽の中の手紙 (角川文庫)

かつて教科書にも登場した伝説的な衝撃の話題作
「セメント樽の中の手紙」をはじめ、
蟹工船」の小林多喜二を驚嘆させ大きな影響を与えた「淫売婦」など、
昭和初期、多喜二と共にプロレタリア文明を主導した葉山嘉樹の作品計8編を収録。
ワーキングプア文学の原点がここにある!


この本では、

働いても、働いても苦しい。もはや、働くことすらできないといった状況でもなお、

この経済システムの中に身を置き、

自分の持てるすべてをお金に換える人びとが描かれている。



誰しも、生まれてきたからには、生きていかなければならない。

そのためには、この世の中の経済システムの中に身を置かねばならない。

そこから脱するには、完全な自給自足な暮らししかないと私は思う。



もちろん、現金がなくても、生きてはいけるだろうが、

医者にもいけないし、遠く離れた友人に手紙も届けられない。

仙人にでもならない限りは、

私たちは、そう簡単にこの経済システムから、抜け出せないのではないかなと思う。



幸いなことに、私には仕事があり、こうして生きている。


貧しかったころのみじめな記憶も、

自分でお金を稼ぎ、欲しいものを買い、行きたい所へ行き、

やりたいこともできるようになって

ようやく乗り越えられた気がする。



しかしこの先、

生きること自体が苦しいような、そんな人生が私を待っているかもしれない。

乗り越えたと思ったみじめな記憶が、また現実となって私を襲うやも知れぬ。



今の私なら、

仙人になって、のたれ死んでしまいたいと思うが、

現実には、どうだろうか。


それでも私は死ねないんだろうなと思う。

その時私は、一体何と引き換えに現金を得るのだろう。



小林多喜二蟹工船』はこちら↓
http://d.hatena.ne.jp/tetuneco/20081027