- 作者: 向田邦子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/03
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 79回
- この商品を含むブログ (97件) を見る
向田邦子さんのエッセイ集である。
彼女の生きてきた時代の情景と、彼女の周りの人々が丁寧に描かれている。
人様のエッセイをもとに、ここにエッセイを書くのはどうだろう?と思い、
それならばと私の父について、書いてみようと思った。
そして昨日、ここに書こうとして、やめた。
私の父のことなど書いてどうなるものでもないし。。
しかし、
今朝、私の直属の上司の父上が亡くなられた。
それでやはり私は、私の父のことを書いてみようと思う。
私の父は、
お酒に飲まれ、もはや家族すら素面の父を見たことがないのではないかと思う。
そして、父は中身がではなく、外見が仙人のようになっている。
隠居といえば聞こえはいいが、ただのひきこもりじじいである。
そんな父だが、家族全員が、毎日叱り飛ばされていたせいか、
なぜか皆から恐れられ、一目おかれ、どうやらそれが威厳となって、父を包んでいる。
酔っ払いにもそれなりの威厳はあるのである。
結局のところ、泣いても笑っても、お父さんが一番で絶対なのである。
高校を卒業し、私は念願の独り立ちを果たした。
しかし初めての寮生活で、私は毎日泣きべそをかいていた。
家ではあまり泣いたりしなかったので、家族は信じれられなかったらしい。
そんな私に父がくれた手紙がある。
もう手元になくてうろ覚えであるが、
「1年の寮生活は、長いようで短いものです。春夏秋冬と、それぞれ一度しかやってきませんよ。」
などと書いてあったと思う。
この一文には、時の移ろいやすさと、四季それぞれを十分に楽しむように
との思いが込められていると、私は読んだ。
こういう心憎い一言などで、いつも叱られ、怒鳴られ、酔ってからまれ続けたものの、
どうにか父は、一番を守ってきたのであろう。
父は、いい意味でも悪い意味でも、あらゆる意味で一番な人だ。
あなたのお父さんはどんな人ですか?