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『父の詫び状』向田邦子

父の詫び状 <新装版> (文春文庫)

父の詫び状 <新装版> (文春文庫)

向田邦子さんのエッセイ集である。

彼女の生きてきた時代の情景と、彼女の周りの人々が丁寧に描かれている。



人様のエッセイをもとに、ここにエッセイを書くのはどうだろう?と思い、

それならばと私の父について、書いてみようと思った。


そして昨日、ここに書こうとして、やめた

私の父のことなど書いてどうなるものでもないし。。


しかし、

今朝、私の直属の上司の父上が亡くなられた。


それでやはり私は、私の父のことを書いてみようと思う。


私の父は、

お酒に飲まれ、もはや家族すら素面の父を見たことがないのではないかと思う。

そして、父は中身がではなく、外見が仙人のようになっている。

隠居といえば聞こえはいいが、ただのひきこもりじじいである。


そんな父だが、家族全員が、毎日叱り飛ばされていたせいか、

なぜか皆から恐れられ、一目おかれ、どうやらそれが威厳となって、父を包んでいる。

酔っ払いにもそれなりの威厳はあるのである。


結局のところ、泣いても笑っても、お父さんが一番で絶対なのである。


高校を卒業し、私は念願の独り立ちを果たした。

しかし初めての寮生活で、私は毎日泣きべそをかいていた。

家ではあまり泣いたりしなかったので、家族は信じれられなかったらしい。

そんな私に父がくれた手紙がある。

もう手元になくてうろ覚えであるが、


「1年の寮生活は、長いようで短いものです。春夏秋冬と、それぞれ一度しかやってきませんよ。」


などと書いてあったと思う。

この一文には、時の移ろいやすさと、四季それぞれを十分に楽しむように

との思いが込められていると、私は読んだ。



こういう心憎い一言などで、いつも叱られ、怒鳴られ、酔ってからまれ続けたものの、

どうにか父は、一番を守ってきたのであろう。


父は、いい意味でも悪い意味でも、あらゆる意味で一番な人だ。





あなたのお父さんはどんな人ですか?