dokusyo

本を読んで社会をのぞき見

読書記録・本のおすすめ・その他もろもろ

『新人生論ノート』木田元

新人生論ノート (集英社新書)

新人生論ノート (集英社新書)

またもや、哲学か?と思いきや、
哲学者の書くエッセイといえる本。

どうもおじいちゃん(著者は執筆時74歳)文体に弱い私は、
なんとも穏やかな気持ちで読んだ本であった。


13のテーマにそって、
故郷に始まり、運命、笑い、死、読書、時間など、
いろいろと哲学哲学しないで書かれている。

だから、この本は、
どこか気に入ったテーマだけを読んでもいいし、
ときどき思い返しては、ちびちびテーマを変えて
楽しんでもいいと思う。

とにかく、肩の凝らない本なのだ。


さて、私の気になったテーマは、

もちろん、死と読書。。


死については、
これが死ですよ、と著者は見せてはくれないが、
代わりに、身近な人の死の経緯をそのまま語っている。

死の経緯ではあるが、
私にはどうも生きた証のように読めるから不思議だ。


読書については、

よく考えぬいて書かれた本を一行一行読んでいきながら
著者の思考を追思考する、
つまり、著者の思考をなぞって考えていくというやり方だ。
私自身の長い体験からして、
よほど特殊な能力の持ち主でないかぎり、
考える力を養うには、これ以外に方法はない。

といいきっている。

私は、元来、考え事が大好きだが、
思考の浅いところでぐるぐると回っているだけで、
「考え抜く」ということができていないように思う。


一歩一歩しっかりと、
著者の思考をたどり
しっかり考えつつ本を読んでいきたい。

そして
私も、おばあちゃんになったら、
こんな本が書けたらいいのになと思う。