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本を読んで社会をのぞき見

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『五感生活術』山下柚実

五感・・・嗅覚、触覚、味覚、聴覚、視覚

五感を使うことで自分自身の暮らしの幅を広げてみることを提案し、
そのヒントとなることが、本書の目的である。


この本の中で、私が気になったのは、嗅覚

できるだけ「匂いのない生活」が良いものだと考え、

せっせと部屋や身のまわりを消臭し、

可能な限り「匂い」を押さえ込もうと躍起になる。

その一方で自分が選び出してきたお気に入りの人工的な「香り」のみを

「良い匂い」として許容し、部屋の中に漂わせる。

「匂い」とは、自分の意志や選択によって自由にコントロール可能なもの。

そう考える人たちのことを、香りの環境研究所・成瀬守弘氏は

「匂い我がまま」と名付けている。


いろんな匂いがあって、そもそも良いも悪いもない。

確かに、隣の上司の臭い香水も、あいつに取ったらいい香り。。。


そんな中で、嗅ぎたい匂いだけ嗅ぐのって、匂い我がままっていうのかー。

そういわれたら、そうかもしれない。


「匂い」の拒絶とは、他者、あるいは自分と異質な存在を受け入れる許容量が

極端に少なくなってきているサイン、とも考えられる。

いろんな匂いをどんどん排除することは、

自分自身を無臭の世界へと追い込み、世界を狭くすることつながるのか。

いろんな匂いがある、いろんな匂いの人がいるってことか??



そういや、このところの私は、電車に乗るとまわりの人の声が気になる。

とにかく、雑音でしかない。


もしやこれって、音我がまま

私の世界は、かなり狭くなっているようだ。

「・・・

現代社会の中で多くの人が何をやっても充実感がない、おもしろくない、

生きている実感が得られない、という軽ウツ状態にあるのは、

もしかしたら五感からの刺激を受け取る機会が極端に減り、

それによって脳への刺激が減り、脳を高揚させるホルモンが分泌されないことも

一つの要因ではないでしょうか」

匂いは脳を刺激する。

逆からいえば、過度な無臭化志向社会が軽ウツ状態を作り出す。


眠った五感を呼び覚ますことは、いろんな感覚を受け取る間口を広げることだ。


いまのところ、私の感覚は、本だけに向けられている。

これでは、軽ウツまっしぐらかな???



と、いう訳で、

暖かくなったら、お外で本を読もうと思います(笑)。。