マイナス・ゼロ 広瀬正 (集英社文庫)
この本書いたのどんな人
この本を書いたのは、
日本の小説家、SF作家、推理作家、ジャズ・サックス奏者、クラシックカーモデル製作者。時間をテーマにしたSF作品を多く残し、「時に憑かれた作家」とも呼ばれる。
(広瀬正 - Wikipediaより)
調べてみたら、作品数がそんなになくて、なぜだろうと思っていたら、著者は、47歳という若さでこの世を去っておられた。
内容
この本は、「時に憑かれた作家」と呼ばれる所以とも思えるタイムマシンモチーフとした時間を題材としたSF作品です。
時間というと、過去から未来へと直線的なイメージで流れているように感じられる。
多くのタイムマシンが出てくる物語は、タイムマシンに乗って、直線的に未来へ行ったり、過去へ行ったりする。
しかしこの本の中では、時間が螺旋を描くように過去と未来が、タイムマシンによって奇妙につながっている。
この本は、時間に憑かれた著者だからこそ書けた作品だ。
私の感想
あまり書くとネタバレになるのだけれど、この本には、わずかな登場人物しか登場していない。
例えば、主人公の男。
物語の始まりゼロ地点の主人公、そして過去のマイナス地点の主人公、未来のプラス地点の主人公にと、そしてタイムマシンで到達した新たな時間のゼロ地点であるマイナス・ゼロ地点の主人公が登場する。
4人が絡み合い物語が構成されているが、同じ1人の男だ。
鈍い私は、この本の最後になって、このことに気がつかされるのだが、気付いた時には、物語の中の時間がぐるぐると渦を描いて、その渦に飲み込まれて、ぐらりとめまいがした。
しかもだ、えーっと、主人公が助けた彼女が、まさか・・・だなんて。
この本は、ドキドキでもワクワクでもない、クラクラするSFだ。
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